用紙用語

印刷用紙の種類
紙には業界独自の分類があります。印刷と関係するのは、印刷・情報用紙です。

紙にはいろいろな種類がありますが、分類状「紙」と板紙の二種類に分かれます。板紙には、段ボール用の原紙や紙箱用の板紙が属し「板」といわれるように厚めの紙です。一方、「紙」には、印刷で使用される印刷用紙と複写機やプリンターなどで使用される情報用紙、また包装用の紙などが属します。したがって、印刷やプリントに関するのは、印刷用紙、情報用紙(これらをまとめて印刷・情報用紙といいます)です。海外では、例えば米国では、「印刷・筆記用紙」という分類が日本の印刷・情報用紙に相当します。

印刷用紙は次ページの表のように、非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、特殊印刷用紙に分類されます。塗工紙は、紙にクレーや炭酸カルシウムなどが塗布されています。これは、紙の白色度を上げたり、筆記性を向上することが目的です。微塗工印刷用紙と塗工紙印刷用紙では塗布される量が異なります。非塗工印刷用紙のうち上級紙は書籍や教科書で、中級紙や下級紙は雑誌などで用いられます。辞書などでは非常に薄い紙が用いられますが、これ薄葉印刷用紙と呼ばれる紙です。塗工印刷用紙は美術書や雑誌の表紙、各種のチラシやカタログ、ポスターなどで、掲載商品の見栄えを良くしたり高級感を出したりする目的で使用されています。近年はこの塗工紙のニーズが高まり、各製紙会社は塗工紙の生産能力を増強しています。特殊印刷用紙には健康保険証で使われる色上質紙、また官製はがきや地図で使用される紙があります。

アート紙
塗工紙の一種で、上質印刷用紙に40/・程度の塗料(クレーや炭酸カリウムなどの白色顔料など)が塗工された印刷用紙のことをいいます。

板紙
厚い紙の総称です。段ボール原紙、白板紙(通称ボール紙)、チップボール(古紙を原料とした灰色の板紙)などがあります。主に包装材として、段ボール箱、パッケージ、バインダーなどで使用されています。

コート紙
塗工紙の一種で、20~40g/・程度の塗料を塗布された紙のことです。上質印刷用紙に塗工したものを上質コート紙、中級印刷用紙に塗工したものを中質コート紙といいます。

古紙
一度使用された紙のことです。古紙はリサイクルされることで再生紙となります。再生紙にされるごとにパルプ繊維が短くなり、紙のコシが弱くなるなどの問題がありますが、環境保護の観点から古紙の再利用は最重視されています。

再生紙
古紙を私用して作られる紙総称です。明確な定義は定められていません。日本の古紙利用率は、全体としては60%を超えてますが、印刷・情報用紙では30%にも届いておらず、大きな課題となっています。

上質紙
化学パルプの配合率100%の洋紙のことをいいます。非塗工洋紙の上級紙に分類され、印刷やコピー用紙として使用されます。

情報用紙
各種プリントで用いられる紙の総称です。使用する記録方式により紙に求められる特性は異なります。

ノーカーボン紙
感圧紙ともいいます。カーボン膜を使用せずに複写できる紙のことです。上紙の裏面にマイクロカプセル化された発色材が塗布され、下の紙表面に顕色材を塗布し、二つを重ねてあります。上の紙に筆記や印字するとマイクロカプセルが壊れ、発色材が下紙の顕色材と反応することで複写します。

塗工紙
クレーや炭酸カルシウムを紙の表面に塗布し、平滑さや白色度などを高めた紙のことをいいます。これらの塗布量により、アート紙、コート紙、軽量紙、微塗工紙などに区分されます。

非塗工紙
繊維のからみ合いだけで作られた紙で、表面には特別な塗工はされていません。上質紙のほかに、ケント紙、中質紙、ざら紙等いろいろあります。表面の平滑性がないため、カラー印刷には適しません。

フォーム用紙
パンチやミシン目加工が施された出力用紙のことをいいます。連続帳票用紙ともいいます。

プリンタブルエレクトロニクス
印刷やプリント技術を用いて電子部品などを探る手法、およびその手法で形成されたデバイス、電子回路や基板のことをいいます。配線や抵抗などの部品だけではなく、トランジスタやセンサーなども印刷で作成されます。真空環境ではなくても、ロール・トゥ・ロール(R2R)などで連続的に生産できるためエレクトロニクス製造に変革をもたらすと期待されています。

洋紙
木材パルプを主原料として、機械を使って製造された紙。手漉きの和紙に対してこう呼ばれます。

四六判
紙の原紙サイズの一つで、サイズは788mm×109mmです。

和紙
欧米から伝わった洋紙に対して日本製の紙のことを指します。繊維が長い洋紙より耐久性が高い、大量生産に向かないため高価です。紙幣の素材としても使用されています。

筆記用紙
帳簿・レターペーパーや証券・小切手に使われる。模様をすき込み、偽造を防止する。

図面用紙
画用紙、木炭紙・ケント紙など絵画や製図に使われる。

包装用紙
腰が強く包装に適する。クラフト紙・ロール紙・模造紙・グラシン紙・硫酸紙など

薄葉紙
辞書用のインデア紙、たばこ用のライスペーパー、エアーメールペーパーなど。

雑種紙
厚手の美しい紙(製本・プログラム・入場券・カレンダー)および吸収紙・印画紙など。

アルファベット

A判
紙の用紙サイズの一つ。A判の原紙サイズ(A全)は、625mm×880mm。原紙から断裁されたA列の用紙サイズはA0~A10まで11段階あり、JISで決められています。国内ではB判と共に採用されてきました。官公庁では1993年から行政文書をA判に統一しています。

B判
紙の用紙サイズの一つです。B判の原紙サイズ(B全)は、765mm×1085mm。B列の用紙サイズはB0~B10まで11段階あり、JISで決められています。「美濃紙」の半分サイズがB4とされ、日本独自の基準として採用されました。

損紙
印刷および加工工程で生じた実用に供しない紙のことです。印刷された損紙を黒損、されていないものを白損といいますが、通常、総称してヤレといいます。損紙は種々発生するので、あらかじめ印刷用紙の中に所定の損紙予備(予備紙)を加えておきますが、できるだけ少なくするような努力がなされてます。


(1)ページ物印刷における印刷工程の仕事の1単位のことです。一度に印刷することができるページ数を1単位(1台)として、総ページ数を台数で表します。

(2)鉛版、樹脂版、活字より薄い活版を活字の高さに揃えるためのベースとなる木片や金属片のことをいい、金属製のものを台金、木製のものを台木といいます。

枚用紙
抄造後、巻き取られた紙を菊判や四六判など所要の寸法に断裁したシート状の紙。巻取紙に対してもちいられます。

巻取紙
所要の幅にスリットし、心棒に連続して巻いて仕上げた紙のことです。枚葉紙に対してもちいられます。輸送時は、外力による損傷や外気の影響を考慮し、クラフト紙やビニルなど丈夫なもので外側を包装してあります。(同意語)

エンボス・しぼつけ
エンボス加工した紙は、独特の肌合いを喜ばれています。


紙および板紙の取引き上の一単位のことです。紙の場合、規定寸法に仕上げた紙1000枚(巻取紙では1000枚分)を1連とします。板紙の場合、規格寸法に仕上げた板紙100枚(巻取紙では100枚分)を1連とします。

連量
1連の紙および板紙の重量のことを指します。キログラム(kg)単位で表します。(関連語)連

紙の目
縦目と横目(縦目の夕を取って、横目のヨをとってY目ともいう)

紙はパルプなどの繊維を原料に、その繊維を液状にし、抄折機という紙を作る装置の上を、流しながらからませ、脱水・乾燥させて作られます。そのため、抄折機の流れにそった繊維の流れが作られます。

縦目(抄折機にしたがって紙が作られていく流れ方向)と横目(この流れと直角の方向)があります。

紙は湿度による影響をうけやすく、さらに繊維の長さより直径の幅に影響を多く受けるため、紙ぐせによる変形をおこします。紙の目を知っておくことは、特に製本上で非常に大切になります。

本と紙の目の関係

すべての本は、出来上がったときに、紙の繊維方向と平行に綴じ目がきます。A判、B判とも縦目を使った場合、偶数判は横長、奇数判は縦長の本となります。横目を使った場合は、偶数判は縦長、奇数判は横長となります。縦長の本は、偶数で縦目、奇数で横目を使います。